フライ油の劣化により生成される物質の総称を「極性化合物」と言います。では、それはどのようなものでしょうか。フライ油劣化の原因には次の三つがあります。

  • 水分による遊離脂肪酸の増加→酸化の原因
  • 重合物の増加→粘りの原因
  • 熱による芳香化合物の増加→臭いの原因

フライ油の劣化メカニズムを図にすると、以下のようになります。

フライ油の劣化

「低分子分解物」「重合物」「遊離脂肪酸」が「極性化合物」として、油槽内のフライ油を劣化させるのですが、では、その劣化の基準はどのように測定すればいいのでしょうか。図の右点線部分に「日本の衛生規範による酸化測定」とありますが、わが国ではこの遊離脂肪酸をフライ油劣化の基準としているのです。その主な方法は試験紙を使用して、酸価(AV値)を測定します。

具体的には、試験紙を油に浸けて、その色の変化でAV値を判定します。日本ではこの方法でフライ油の酸化を測定するのが一般的ですが、問題が二つあります。一つは、試験紙ではAV値を目視で判別するため、どの程度、という基準が曖昧で、測定を行う人の経験則に頼らざるを得ません。

もう一つは、この日本の測定方法が極性化合物量全体を捉えたものではないということです。世界基準、特に欧州では、極性化合物量を総合的な視点でとらえ、「TPM(値)」と呼ばれる数値で計測、これが世界のスタンダードとなっています。例えばドイツではTPMが24%、フランスでは24%、イタリアでは25%で、そのフライ油の劣化度が「破棄すべき」となります。一番その値が高い中国やオーストリアでも27%です。

では、このTPMはどうやって測定するのか? 極性化合物をトータルにとらえる方法とは。

それには専用の測定器があります。いまや、デジタルの力で簡単にフライ油の劣化具合を「目に見える」数値で測定できるのです。使い方は簡単です。フライ油にセンサー部分を浸けるだけ。そこに現れる数値が「まだ大丈夫」なのか、「そろそろ交換の時期」なのか、もう「廃棄すべき」なのかを明確に知らせてくれます。

万全な「フライ油の品質管理」の第一歩は、的確な交換時期を判断するためにフライ油の状態を計測することです。

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