今日の日本の食生活に油を用いた料理は欠かせません。揚げ物は特に難しい調理方法ではなく、それでいてボリュームのある美味しいおかずになります。から揚げ、トンカツ、メンチカツ、コロッケ、エビフライ、アジフライ、更にはそれを素材にしたカツ丼やカツ煮、エビフライ丼などなど。
そこで、素朴な疑問が浮かんできます。一体、日本の食文化として油が登場したのはいつくらいなのか? 縄文時代にはエゴマ(荏胡麻:シソの仲間)やゴマの栽培が行われていた記録があるそうです。また、ハシバミ(榛:ブナ目カバノキ科)の実から油を搾ったとの記述が日本書紀(奈良時代に成立した日本の歴史書。720年に完成)にあるそうです。このハシバミの仲間であるセイヨウハシバミ(西洋榛)はヘーゼルナッツです。やがては菜種(ナタネ:別名、ナノハナ、アブラナ)を原料とした搾油が全国的に盛んになったようです。
しかし、それらの油は食用ではなく、灯火の燃料として使われていたようで、油が食用として使われるのはもう少し後の時代です。ただ、それがいつから始まったかといえば、明確にこの時代からと言えるボーダーがあるようではなく、個々の記録に散見できるものの、それが日本の食文化として成立するのは「天ぷら」が一般に普及する江戸時代辺りでしょうか。それ以前の安土桃山時代に「天婦羅」は登場していますが「南蛮料理」と呼ばれていたようで、庶民にはまだ普及していたとは言えないようです。
一般庶民にまで食用油が普及するのは明治期に入ってからでしょう。もともとは中国料理の影響で料理に油を利用するようになったようですが、明治期には西洋文化とともにその調理法が多く日本に伝えられ、菜種油も稲の裏作として栽培しやすいことから、大衆に普及したのでしょう。大正末期辺りには今の油を使った料理がほぼその形を整えたようです。
もともと、日本の料理は油をあまり用いず、淡泊な味で、カロリー摂取という点では低かったでしょう。それが食用油の普及で、美味しく、必要なカロリーも十分に摂取できるようになったということです。ただし、食用油は使い回しで劣化しやすく、新鮮な油を使うことで美味しさに健康がプラスされます。
一般の家庭で作る料理ならそれぞれの対応で済むわけですけど、ビジネスで食用油を使った食品を商品として提供するには、その食用油の「鮮度」をいかに長く保つかがコスト面で重要になります。
日本人の食文化にとって食用油は歴史的に比較的最近、欠かせぬものとなったと言って良いと思います。その使用管理も今や「交換頻度」「濾過」によるのではなく、新しい技術によるソリューションが開発されています。ある意味では、やっと登場した手法と言えるでしょう。
カラット君の技術が、食用油を使った日本の食生活を支えます。